::人魚は空に還る 三木笙子
表紙のイラストが、ひむあり明治時代パラレルだったので飛びついてしまいました。
内容も男二人の謎解き物語です。
天才絵師とその絵を載せてる雑誌の編集者が主人公なんですが、絵師が超売れっ子なので、雑誌に掲載する絵を描いてもらうのがすごい大変なんですよ。でも編集者は絵師にある事をしてあげてる代わりに、優先的に絵を書いてもらってるんです。
それが、英文が読めない絵師のために、編集者がストランドマガジンのホームズの原文を訳してあげてるっていうね…編集者が絵師の家に通って読んであげてるっていうね…編集者が忙しくてしばらく家にこないと絵師は機嫌が悪くなるっていうね…そのうち「絵を描いてやるから僕と寝てくれないか」とか言い出すんじゃないかっていうね…そんな感じ。
好きな雰囲気なんだけど、話もキャラももうちょっとずつ何かが足りない感じでした。
::証言・臨死体験 立花隆
なんか変なの読んでると思われそうだけど、いたってまともな精神状態なのでだいじょぶですよ。多分…。
臨死体験をした人の話を、インタビュー形式でまとめたものです。
もちろん個人差はあるんだけれど、不思議なことにみんな三途の川のようなところに行くんですよね。
これはやっぱり死んだら三途の川を渡るっていうのが知識(?)として頭に入っているから、共通のイメージとして浮かんでくるんですかね。脳味噌って、先入観というか、自分の知ってるものに置き換えますよね。
そして私が一番興味深かったのが、過去に行ってきたという人の話です。
その人は子供の頃事故に遭いそうになった時、どこからか「危ない」って声が聞こえたらしいんです。結局その声は、大人になって死にかけて幽体離脱した自分の声だったっていうありがちな話なんですが、これって子供の頃の体験がずっと心に引っかかっていて、だから辻褄を合わせるために脳味噌が自分を納得させたってことなんでしょうか。それとも本当に過去に行ってきたんでしょうか。
宗教とかスピリチュアルな感じでなく、かといって科学的に論じようとしているのでもなく、ただひたすら淡々とした体験談のみをもっと読んでみたいです。
::邪魔(上)(下) 奥田英朗
放火犯を追う刑事モノなんですが、企業とヤクザと警察の癒着、そこに絡む主婦、高校生、刑事が、些細な歯車のずれからドロップアウトしてゆく様が描かれていて、ただの刑事モノでは終わらない構成が素晴らしいなと思いました。面白かったです。
主人公の刑事さんは有能なんですが、なんとなくこの人大丈夫かしらっていう不吉な予感がつきまとう人で、それは暴走刑事だとかいうことではなく、精神的にちょっとアレな種類のものなので、その辺の不安定なソワソワ感みたいなのが逆に面白かったのかなあと思います。え、言ってる事がわかんない?私もよくわかんないよ!
現在48/100冊
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