::異国の迷路 坂東眞砂子
坂東先生にしてはあっさりしてる、ちょっと怖い短編集です。
外国の旅先での話が多いんですけど、場所とか土地が怖いんじゃなくて、人が怖い感じ。
::檀林皇后私譜(上)(下) 杉本苑子
まずは私の萌えっ子はやなりきゅんが出ていると教えてくださったチカさんありがとうございます!
どうしても古本じゃなくて欲しいなと思ってて、ようやく見つかりましたよ~。
はやなりが思いを寄せている従妹の橘嘉智子のお話なので、まあ出てきてもちょっとかなと思ってたんですけど、結構最初から最後まで出てました。
少年時代から死ぬまで!
晩年のはやなりは、唐ですっかり身を持ち崩して、売春婦に生ませた子を連れ帰ってきて(しかも自分の子かもわからない)、出仕もせず日がな釣りをして暮らし、挙句冤罪で伊豆に流される途中で息絶えてしまうという、なんとも暗い顛末なんですが、はやなりのキャラが陽性なので悲壮感があまりないんですよ。
この時代の人ってそういう自分に酔って歌を詠んだりするものかと思ってたけど、この非常にたくましいはやなりは自分を嘆いたりしないのですごく好ましく思えました。
死んだら死んだで今度は怨霊沙汰なんですが、はやなりとの誓いを破った仁明帝(嘉智子の長男)が30そこそこでもう危ない感じになってしまったので、病床で嘉智子が「はやなりどのが祟るとお思いですか帝」って聞くんです。
そしたら帝は「ばかげた疑いです。橘秀才はそんな人ではありませんのに」って答えるんです。泣けるでしょ!
空海も結構出てきました。
はやなりと空海は唐に行く前からの悪友で、そこに嘉智子の夫の嵯峨天皇も加わって、という感じです。
この三筆の関係ももえるんですが、でも3人とも攻めかなあ。
攻めが3人集まって、どこぞの受けはなかなか、みたいな話をしてたらいいな。
最近女性の書く小説は容赦ないなと思うんですが、幼い嘉智子とはやなりが森で出会った老人と占い師のエピソード、それからはやなりの最期の様子などなど、結構グサっときて、普段読んだそばから忘れていくのが特技の私もとても忘れがたい小説となりました。
現在 64/100冊